みなさんこんにちは✨
前回の記事はこちらです:
娘は医療機関を受診したことで、ようやく正式に(!?)“場面緘黙”および“自閉スペクトラム症”と診断を受け、私たちはいよいよ彼女の場面緘黙支援に関して動き始めることとなりました。
最近の私は様々な機関の見学だったり面談などに奔走しており、やや忙しい日々を送っていました。その甲斐あってようやく娘の療育のために通う施設や頻度も定まってきて、娘の成長をサポートしてくださる専門の支援者のメンバーが概ね揃ったという段階まで来ています。これから関係各所と良い関係を築いていきたいと願っています。
さて、今日は専門家の話ではなく、娘の”日常”の話を記録しておこうと思います。彼女が通園している保育園の中においても日々困難はありそうなのです。それについて娘からしっかり聞き取りをすることができました。さらにその対策の一案として、人に見せるだけで大人に助けを求められる“困っていますカード”のようなものを作成してみたいと思います。
療育もとても大切ですが、それ以上に重視すべきは彼女の“日常”の環境調整なのだと思います。
娘の日常の困難を聞き取りたい
保育園での生活の困難は
娘は0歳児クラスから入園し、今も同じ保育園にずっと通園しています。彼女にとって保育園は“慣れた場所”ではあるのですが、それでも私は先生方からの話を通して、娘が直面する人や場面によっては日々いくつかの困難を感じていそうだと感じていました。
私は今回、娘が医療機関において診断を受けたことをきっかけに、
娘に診断がおりましたので、今後の対応について相談させてほしいです。
そう担任の先生に申し出て、面談の機会を設けていたくだようにお願いしてありました。
この日はその面談の準備も兼ねて、この機会に娘への聞き取りによって彼女の保育園生活の実態把握、およびその困難への対処法を考えていくきっかけを掴みたいと思っていました。
娘ちゃん、保育園で困ることがあれば聞かせてほしいの。先生はどう?朝の会やお当番では話せている?お友達関係はどうだろう。
娘は私の想像以上に自分の状態を正しく理解しているようでした。私のそんな聞き取りは、大変スムーズに運びました。
家ではとても上手に話す娘に感服
(担任の)N先生にはなんでも話せてる。あと、(昨年担任だった)O先生も大丈夫。
N先生がお休みの時はどうしているの?
N先生がお休みの時は喋れていない。用事がある時は(別の教室担当の)O先生にこっそり言いに行くこともある。だって他の先生は怖くはないんだけど、すごくドキドキしちゃうから…あと、(普段関わりの少ない)給食先生とかはすごく怖い…。
みんなで給食を食べるのは大丈夫(←毎日完食+お代わりもしているようです!)。
だけどスプーンを落としてしまった時とか、声を出すことが難しい。そう言う時は自分で給食先生に言うことになっているんだけど、娘ちゃんは無理なの。N先生には言えるけど、みんなのご飯を配っている時とかは声をかけないほうがいいかなって思ってるから言えてない。
あ、でもこの前はスプーンを落とした時に隣に座っていたMちゃんが気づいてくれて、代わりに給食先生に言ってくれて、その時はすごく助かったんだよ!
朝の会はみんなと一緒だからご挨拶の声も出せてる。でもお歌は少し難しくて、口は開けることはできているんだけど。
お当番の時は、日付を言ったり先生のお手伝いをするんだけど、みんなの前でお話しするのは怖い気持ち。日付は大きな声で言わないとみんなに聞こえないんだよ。でも大きな声で喋りたいけどドキドキして怖くて喉がきゅってなる感じがしちゃう。
でも、一緒にお当番の子が言ってくれることもあるし、それにHちゃんとかも恥ずかしくなって言えないこともあるんだよ。そういう時は自分だけじゃないんだなって思ったりするー。
あと困るのは、娘ちゃんはお絵描きがいつもしたいんだけど、画用紙がたまに無くなっていることがあって、そういうときは先生にも言えなくて体も動けなくなっちゃってる。
だけど先生が気づいてくれて、『どうしたの?』って言ってくれれば指を指したりして伝えられることもあるよ。
こんな感じで、私がちょっとお話を聞かせてと言ったそばから次から次へと非常に順調に娘の困難が聞かれるわけです。
私はとても驚きました。
その着想や話の展開、言葉の選び方の的確さ。
聞いている方がまさに生活の様子をありありとイメージできるような、そんな説明の巧みさ。
さらには聞かれていることの意図を正しく理解し、相手が欲しい情報を極めて的確に出してくることの聡明さに、です。
娘はいつも保育園でとても頑張って生活していることが十分伝わってきたと思いました。これまでも我が家では普段から寝る前などにはお布団の中で今日の出来事などの話もしたりするのですが、そこでは“楽しかったこと”や“嫌だったこと”などの出来事の話がメインであって、困難に注目して話を聞いたことがこれまでほとんどなかったことにも私は改めて反省させられる思いでした。
なんてことだ。もっと早く聞いてやればよかったのに私は何をしていたのか…😭
私はそんな密かな衝撃を受けつつも、きちんと問えば娘がどんどん話してくれることをとにかく書き留め、これらをしっかり保育園に伝えていこうと思いました。
対策案の立案へ
娘が細かいことまでとにかく丁寧に話してくれたおかげで、娘の日常生活における“困難の実態”がかなりはっきり見えてきました。
また、その全てに当てはまるわけではなくとも、『どうだったら良いだろうね〜?』という私の問いに対する娘の返答の共通ワードとして、
『先生が気づいてくれて、「どうしたの?」って言ってくれれば出来るかも』
という意見が聞かれたこともこの日の重要な発見でした。
なるほど、気づいてもらえば娘は対応していけるだろう。方向性はそれだ。娘の場合は、大人に困っていることをまず気付いてもらう(大人が気付いてしまう)方法を模索すれば良いのだろうと思われました。
じゃあさ。困ったなって思った時にはN先生や他の先生でもお洋服の裾を引っ張ったりして合図する?
(担任の)N先生にはできそう。
それとも、見せるだけで気持ちを伝えられる、カードのようなものを作ろうか?
それ、いいと思う!作ってみる!
それではと、私と娘は早速PCを開き、カードのようなものをイメージしながらデザイン案を作り始めました。
参考にするのは当事者団体かんもくネットの当事者用の携帯・提示カードです。必要な情報がしっかり盛り込まれていてデザインもとても素敵です。(←だけどちょっとだけ幼い女の子が喜んで使いたい要素が足りていない😅)
これをベースに、娘にも扱いやすい小さめサイズ(40mm x 60mmにしました)で、娘の好きなすみっコぐらしの絵を入れて、娘仕様にこんな感じで作ってみました(↓)。
おっけー。明日から保育園に持って行って、使う練習を始めてみましょう!お母さんから先生にも話しておくね。
やったー!
何日間か持たせてみましたが、実際娘はカードを持って保育園には行っていますが、困っていても提示することまでは出来ていないような印象でした。
カードは使えてる?どうかなぁ?
カードがあるから安心だなっていつも思っているけど、使うのはまだドキドキする感じ。
そりゃそうでしょうね😊“頭で理解すること”と“実行すること”の間には、もう一つか二つのハードルのようなものがあるのです。誰だって最初から完璧なのではありません。
今は“お守り”程度に彼女の保育園バッグに付けておけば、まずはそれで良いのではないかと思います。
当サイトに書くことはあくまで“娘の場合”です。
全ての人がそれぞれ違うように、緘黙のお子さん(大人もですが)もその個性や症状の表出の仕方、困りごとや対応策は本当に人それぞれだと思います。
落ち着いているときに今の困りごとをしっかり聞き取り、出来そうな対応策を試行錯誤しながらでも一つ一つ試していってみるしかないのだろうと思います。
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🌟関連書籍の紹介🌟
↑とてもよくまとまっています。私はもう1冊を購入し、この機会に娘が通う保育園に寄贈させてもらいました。先生方もお忙しいとは思いますが、何かの時にパラパラと読んでもらえればなと思っています。
↑もう少し具体性があると尚良いかなと感じましたが、“やってはいけないこと”や“接し方のコツ”など一目でイラスト入りでとても分かりやすく書かれています。
↑一当事者の経験談。著者の半生が時間軸に沿って、豊富な語彙による詳細な心理描写と共に書かれています。“かんもくの声”という当事者による発信のFacebookページの運営者であり、“かんもくフォーラム”の実行委員の方でもあるそうです。勇気を持って重要な啓発活動をされるその行動をとても尊敬しています。
↑2013年に設立された研究会。研究者や支援専門職の方だけでなく、場面緘黙の当事者や家族会員も多くおられて最新の知見を提供しているとのことです。私もこの機会に入会申請をさせていただきました。
コメント
カードかわいい!
もしまだ使えなかったとしても、お母さんが一緒に考えて作ってくれたことが、なにより娘さんの励みになると思います。
娘さんにとって安心できる人や場所が増えますように。
ありがとうございます!私も上手にできたと思っていて、娘の勇気の源にもなればいいなと願っています😊
保育園に相談したら、教室への持ち込みも快く認めていただきました。温かく接してくださる方の多さに感謝が尽きません😊