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場面緘黙と就学相談:娘の判定

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場面緘黙症と育つ娘の成長記録

みなさんこんにちは✨

今日は、場面緘黙症という障害を有する私の娘(6歳)が、その障害と共に小学生になるにあたり、地域の公立小学校でどのような支援と教育が受けられるかを考えながら受けてきた“就学相談”につきまして、その判定結果が得られたことを記録しようと思います。

【就学相談とは】

主に就学や進学する前年度に、お子さんの心身の状態や発達段階、障害の特性などに応じて適切な教育を受けられるようにするために受ける相談です。この相談は教育学的、医学的、心理学的な観点から、お子さんにとってよりよい就学先について相談、協議する機会となります。

私の娘は、場面緘黙症(Selective mutism)という不安症に分類される障害を有します。これまでの経緯の一部は当サイトにも記録してきておりますので、ご関心のある方はぜひそちらを追いかけてみてください(↓)

場面緘黙症は、その有病率は0.15~0.8%とも言われており(500人に1人いるかどうかという程度)、決して珍しすぎるといいうわけではないが未だ認知が進んでいない障害の一つであると思います。『ん?なにそれ?』と言われることもまだ多く、当事者や保護者等の関係者には切実で喫緊の問題でありますが、一般にはまだベースとしてもその理解が浸透しているとは言えません。それは、学校現場の先生方においてもまた同様であると感じています。

場面緘黙症は、社会的にはコミュニケーションの困難を呈します。

身体の機能に欠損等の障害もなく、重い知的障害等でもなく、話す機能も能力も備わっているにも関わらず極度の不安の強さ等が原因となり一歩自宅の外に出ればまるで殻に包まれたように声が出なくなってしまうということが主症状の一つです。

6歳の娘はこれを、彼女の言葉でこのように表現しています。とても的確だと思います。

娘

わたしの喉には扉があるの。そこから声が出ていかない。

その扉の開閉は、自分の意思ではできないのです😭詰まってしまってどうしようもない、非常に苦しい状態です。川の流れもそうであるように詰まりというのは負荷であり、とても不自然な状態です。

さらに悪いことに、誤解や偏見を受けることもあります。その本人も子供です。決して1人が好きなわけでも、お話ししたく無いわけでもなく、他のお子さんと同じように伝えたいことも意欲も頑張りたいこともたくさんあるのに、それらが制御不能の強すぎる不安や緊張で堰き止められているようなもの。

『恥ずかしがり屋さんなんですね』、じゃないんだよ。

『普段おとなしいのはいいけれど、挨拶くらいはちゃんとしないと』とあからさまに言われたというお話も他の方から聞きました。

そのような声かけは、場面緘黙児をさらに追い詰めてしまうものになります。場面緘黙の当事者は言葉で伝えられないどうしようもない辛い思いを抱えながら過ごしている、支援や配慮の対象であると捉えていただくことができましたなら嬉しいです。

尚、受診先は児童精神科となりますが、東京都内の都心部に住んでいる私たちでさえ診ていただける医師に巡り会うまでにやや苦労をしたほどに見識を持ち診断をしてくださる医師もまたとても少ないことが現状です。さらに場面緘黙は、「こうすれば必ず治ります」という治療法もありません。本人の辛さや苦しさとは裏腹に、集団の中では指示は聞けるおとなしい子、手がかからない子とさえ見なされがちで、学級内の生徒はもとより教師ですら場面緘黙への理解が乏しいことが現状です。

どうか正しく知ってほしい。その子の困りに気付いて助けてやってほしい!

そんな“気づきづらい”障害である場面緘黙症ですが、私が娘の症状に極めて早期に気がつくことができたことは幸運でした。なぜならそれは、私自身も子供の頃に場面緘黙症の当事者であり、苦い記憶の中のかつての自分と全く同じ症状を呈する娘の様子に気づいた時には動揺もしたが、決意と切り替えは早かったと思います。

だって、私はあの時辛かった。私自身は、時代的および地域的にも適切な理解も特別な支援も受けられないままに育ってきてしまいました。私はそれを独力で克服してきて今に至っているのですが、その克服のきっかけが訪れたのもようやく私が高校生になる頃という話です。私自身は長い間、とても苦しい思いをしてきました。

だから私は、娘が同じ困難を有するのだと知った時、あらゆる支援を、環境を、彼女のために利用することを願いました。診断、支援者、療育、イベント、勉強会。どこへでも私は行きました。たくさんの書籍や論文を自身の経験と照らしながら読むことで専門知識を蓄積して整理をし、娘の様子を観察し、自分たちに合った方法を考え抜いて一歩一歩を進んできたと思います。その点では、母親である私に同じ障害の経験があったことは大きなアドバンデージだったのだと思います。

娘は強くなりました。

とはいえ今度の娘の就学という環境変化は、決して油断はできないだろうと私は覚悟をしておりました。

あらゆる支援を娘にと願いつづける私は当然のこととして、娘の就学を控えた昨夏に地域の公立学校の支援学級または“通級”と呼ばれる情緒学級の利用の申請をするために、区の教育委員会での就学相談を申し込んでおりました。その検査等が全て終わり、冬までには最終的な判定が私たちに伝えられることになっていました。

申込時の面談において早々に、娘は知的障害を伴わないことを大きな理由として(今回改めて娘の認知能力は母や兄と同様に「高い〜非常に高い」という範囲であると分かりました)支援級の利用はできないとあらかじめ伝えられておりました。それは私も、地域の中にはより手厚い支援が必要なお子さんがおられることを理解しているので納得です。

それならばぜひ、娘には少人数で個別に見ていただけるという情緒学級の利用をしたいですと、私はそう希望を伝えてきておりました。通級指導教室とは、普通学級に在籍しつつも週に何時間か教室や学校を移動して、少人数の教室で困りごとに応じた個別指導を受けられるという教室です(↓:非常に詳しく書かれています)。帰属意識の持てそうな居場所の候補は多ければ多いほどありがたい、試してみたいという気持ちでした。

さらに私は区役所の障害児支援課の方とも話をしており、区主体の施策として難しさのある児童には加配の先生(教室内に担任教諭以外にもサポートしてくださる大人が加わる)を配置していただけるというお話も伺っておりましたので、その利用も希望したいとお話ししてありました。

そうしてその判定が伝えられるというある週に、私は電話を受けました。

お、電話だ。判定結果の連絡だ。
教育委員会の担当の方
教育委員会の担当の方

教育支援課特別支援教育係です。娘さんの就学相談の判定ですが、

私

はいはい、いかがでしょうか?情緒学級の利用はできますか?(←出来るだろうとすっかり思い込んでいる)

教育委員会の担当の方
教育委員会の担当の方

いえ、今回の判定は普通学級のみ』という判定になります。娘さんは今回は情緒学級の利用はできません。

な、なんですってーーー!!!もう一回言ってみろーーー!!!
教育委員会の担当の方
教育委員会の担当の方

普通学級のみ』です。

 

娘ちゃんは場面緘黙症の診断をお受けになっている通り、幾分の固さは見られました。しかし行動観察でも自分の番号と同じ番号の椅子を判断してきちんと座り、名前を呼ばれたら挙手をして集団の中で過ごせました。また、検査者が行ったテストは全問正解の満点です。解答も早かったですし、テスト中は自信がおありの様子でした。声は小さいですが医師とも会話ができていましたし、知能指数も年齢水準よりも高いです。

そのため、娘ちゃんは普通学級でやっていけるという判断となりました。

ちょ、ちょっと待ってよ。支援の狭間のエアーポケットみたいな細い隙間に、娘がすっぽりハマってる!

いやいや、「普通学級でやっていけるという判断」って言うけどさ、

誰がやると思ってるんや?あんたらがやっていくんと違うんぞ?無支援に放り込まれるのは不安と共に生きる娘である。診断を受けて、まだ挨拶も怖くて言えない、何をするにもバンジージャンプを飛ぶようなドキドキと共に過ごしている、そんな6歳の小さな娘がたった1人で不慣れな小学校に入るんや😭大人がやるんと違うんや😭娘は強くなったとはいえど、全部自分で切り拓くのは今の娘にはまだ辛いと思う。騒々しい教室の中でぎこちなく、周囲の見渡しグルグルと暴走して混乱する頭を抑えようと不安そうな面持ちで過ごす娘が浮かびました、それは私がかつてそうだった時の状況です。

私

それでは加配の先生はいかがでしょうか?

教育委員会の担当の方
教育委員会の担当の方

娘ちゃん個人に、というのはできないでしょう。小学校に配置されている追加教員が手が空いている時になど見てもらえるかもしれませんが、それはお母様が小学校と直接相談なさってください。

え、それ、私が自分で調整するの!?
私

えっと、先日に障害者支援課の方とお話ししておりまして(←また別の記事で書つくもりです)、「加配の先生は区の事業として行っているので利用可能だ」と言われたんですが。

教育委員会の担当の方
教育委員会の担当の方

…それはちょっと担当が違うので分かりません。学校と直接相談してみてください。

とにかく、娘ちゃんはしっかりやっておられましたよ。夏休みまでは“小1支援員”という大人が担任教諭の他にも教室内につきますので、それで様子を見てみてください。

出たな、“様子を見てみて”星人だ!あとな、担当が違うかろうが当の娘は1人だけなのよ、担当違ったら「分かりません」では困ります、連携しようよ。

とまぁ、ここで私がいくら叫んでも仕方のないことなので、一旦電話を切りました。

私

分かりました。この就学相談は判定に関わらず、相談と検査を受けた事実とその背景は就学先の小学校に事前に詳細に共有していただけるというお約束でした。

その際にはどうか「問題なくやっていける娘」ではなく、「障害と直向きに向き合い努力をする娘」としてよくお伝えくださいね。そこは必ず、お願いします。

この判定に、私は大いに戸惑いました。無支援は厳しい、マジで。

だけどその一方で、『確かになぁ…ここ最近の娘は本当に強くなったもんな』とも思うのです。それ自体はとても良いことで喜ばしいことなのです。

娘

だけどね、喉の扉が『パカッ!』て開くのがわかる気がしてきたよ!

今では、安心できる場所であれば自宅の外でも大勢の中でも朗らかに微笑みしなやかに体を動かすことができる娘です。親である私たちのみならず、娘をよく知る人からは『別人のように明るい』と言われる機会も増えています。

あぁ、だけど心配だ。

親としてまず次にやるべきことは、速やかな学校との連携です。それに加え、もう一度、障害者支援課の担当者と話をしても良いだろう。他に誰が頼れるだろう。私は逸る気持ちを抑えながら、出来ることをやるだけだと“その先”を考えるようにと努めました。

 

その日の夕方、私は娘に聞きました。

私

この前に行った就学相談の時にさ、何かテストをしたんだって?今日お母さんはそちらの先生からお電話をいただいて、なんと娘ちゃんはそのテストは100点だったというお話を聞きましたー👏👏👏

娘

あー、うん。

娘

そうだと思うよ。全部できたもん。

私

あ、そう?(←もっと喜ぶかと思ったのに😅)

ちなみにそれって、どんな問題だったの?

娘

えっとねー。「3」と「5」はどちらが大きいか?とかだよ。娘ちゃんは「5」にマルしたよ。

そうだよなぁ…やっぱり支援が想定されるのは、知的障害を伴うお子さんからなのだろう。

私はなるほどと思うと同時に、複雑な思いを感じました。公教育の場では色々なお子さんがおられる中で、特に配慮が必要な子供というのはどうしても知的障害を伴うお子さんなのだろう。

それに対し、娘が抱える困難はその網目をすり抜ける、完全に別方向の課題なのだと感じました。娘は頭も良いし絵も上手い、手先も器用、一見すると喋らない(喋れない)というだけであり、彼女の中ではつねに不安の嵐が吹いているということまでは理解はされても支援の対象にはなりにくいということでしょう。

だけどどうか、少しでも分かってもらいたかった。

私がかつて子供だった時、どうすればいいかわからず、全力で頑張っても空回り、感覚過敏もあり疲労困憊、その辛さを打ちあけたり共感できる仲間も全く作れない。言葉で伝えることができないからこそ“困っていないように見えてしまうこと”こそがこの子の一番大きな困難だって、どうか分かってもらいたかった。

そんな娘の就学相談の判定結果となりました。仕方がない。それだけ今の娘は強くなったということだから。

 

それから少しして、私は地域の公立小学校の副校長先生からお電話をいただいて、短い時間ではありましたがお話しする機会を持たせていただくことができました。気にかけていただいたのだと思います。ありがたいと感じました。

それでも場面緘黙症は、

学校教育では特別支援教育の対象である『情緒障害』に、

医学的には『不安症』に、

発達障害支援者法では『発達障害』に分類されて、

どの枠組みで捉えても合理的配慮の対象です。支援学級も情緒学級も利用ができなかったとしても、私たちは相談しあって娘のためにより良い環境を作っていくことを目指さなくてはなりません。

副校長先生
副校長先生

はい、伺っております。どのようにしていきたいですか?

私

はい、まだ先の話にはなりますが、入学前の春休み頃にでも娘と共にお伺いさせていただければと思います。事前に教室や学校内を見せていただけないでしょうか。また、娘の担任になっていただく先生にもどうか情報共有の程を何卒よろしくお願いいたします。

私が心配しすぎなだけで、もしかしたら娘は入学後にはスルッと馴染むかもしれないし。だけど私も4月は全ての予定を調整し、毎朝夕の登下校の付き添いも欠かさないようにしてみよう。

おやじ
おやじ

お父さんも毎朝行くよ。

そうやろ、みんな心配している応援してる。両親揃って送っていくこともないかもしれんが気持ちはわかる、笑。気をつけて見ていればこそ、気づきと対策が立てられるのだと期待したい。

あらゆる支援を、環境を、彼女のために利用する

今もそう思っています。何をしてでも私は彼女を大切に育てたい。どうか彼女にも素敵な未来が拓けんことをと、私はいつも願っています。

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場面緘黙症と育つ娘の成長記録 感覚過敏
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コメント

  1. pine より:

    こんにちは
    初めてコメントさせていただきます。
    場面緘黙で高IQて、うちの娘!?
    と思いながら、ブログを拝見させていただきました。

    私自身は場面緘黙経験がなく、IQも人並みなところもあり娘の困り感をなかなか想像できずにいました。
    娘も頭の中がぐるぐるしてる感じがあるかもしれないですね。

    うちの娘もこの4月から新一年生です。
    楽しみ半分、超不安半分です!

    • Naomi Naomi より:

      こんにちは、初めまして!
      同い年のお嬢様がおられるとのこと、強い親近感と共感を感じております。

      私も楽しみ半分、楽観も少し、だけど油断はしてはいけないという強い緊張感を持っています。学校との連携をよく取り、娘を信じながら橋渡しはしっかりしていきたいと構えています。

      もし当事者の経験や気持ちなど、お聞きになりたいことがあれば何でもお尋ねください。もしかしたら参考になることがあるかもしれません。子供にとって保護者の理解は心強いと思います。

      まずは新年度を頑張りましょう^^

  2. pine より:

    お返事ありがとうございます。
    コメントに気付くのが遅くなってしまい本当に申し訳ありません。

    2学期が始まりましたが、娘の場面緘黙、入学のタイミングで改善しました。

    担任の先生がとても上手に娘と接してくださったことが、教室での安心感と発話に繋がったようです。
    担任の先生様様です。

    2年進級時にまた担任の先生が変わったらどうなるかわかりませんが、入学前の不安は解消されてホッとしています。

    ただ、学校の勉強に物足りなさは感じているようなので、学校の外で何か出来ることはないかと色々探しているところです。

    自分の好きなことを一緒にやったり喋ったりするお友達が娘に出来るといいなと思っています。

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