みなさんこんにちは✨
以前にちらっとお知らせをさせていただきました、ロートこどもみらい財団において企画された私が講師を務めるオンラインプログラム(↓)につきまして、おかげさまで今週2月5日(月)に無事に開催、私も楽しくみなさんとお話させていただくことができました🙌
『研究者になるためには』という今の私には大きすぎるタイトルが付いてしまった今回のプログラムとなりましたが、
当初はこのお話は、私がどこかで研究者ジョークを披露していた場面を介してなされた、こんな会話を発端にして起こったものです。
ゲノムとか、そういう話ができる人を探しています。
それがまぁ、感染症や癌の話もできますよとかそんな話をしていくうちに、あれよあれよとこんな大それたタイトルになってしまったというわけですが、振り返ってみればそれもまた良かったのだろうと感じております。対象となるお子さんたちにイメージがしやすいタイトルであることが一番です。
今日はそんなプログラムへの準備や当日の様子から感じたことを、少しだけ記録しようと思います。
さて。
参加してくださったお子さんたちから事前にいただいたコメントの中に、いくつものこんな問いかけがありました。
研究者は子供の将来の目標に挙がりやすい「のに」、実際にはどんな生活をしているのか全然わからないので知ってみたい。
一応ですね、研究者に求められる大事な活動の一つとしても“アウトリーチ活動”というものが設けられてはいるのです。
アウトリーチ(outreach)というのは「手を伸ばす」という意味ですが、研究機関におけるアウトリーチ活動というのは大学等の中から外へ、専門家ではない皆さんにもわかりやすい言葉や表現を工夫して研究内容や成果を伝えたり交流を持つことを目的とした活動です。
おそらくですが、どんな大学でも研究機関でも、少なくとも年に一度はそういうイベントをやってるはずです。大学ではオープンキャンパスや大学祭に合わせて開催されたり子供向けの企画もあったり、そういうケースが多いでしょう。
また、私が大学教員として勤務していた時においては、こちらのサイエンスアゴラ(↓)とか、このようなイベントにも私自身も何度も参加し出展してきた経験もあります。
そんなアウトリーチ活動もやってるのだけど、実際のところはあまり機能していないのかな?とも感じたり🤔
確かにそうかもしれません。
まず、そういうものがあるという“情報”を保護者の方のアンテナにかかるように伝えることが必須です。そんで気軽に誰でも来てね、好きなだけ質問していってねと溢れんばかりのウェルカムな雰囲気を作り出すことも大切です。それはかなり工夫を要することでしょう。そうしてやっと出会えます。
しかしながら一方で、アウトリーチ活動といえどもそれは一時的なイベントにしか過ぎなくて、言うならそれはお祭りの出店みたいな側面はどうしてもありますね。企画や展示も出店側が選んでいるし、その場に来て見て触って楽しかった、そうしてその夜になればそのイベントは終了です。
実態がよくわからない:それは研究者の人柄やその人の熱意の背景までを含めて知ったり話したりと、継続的にお互いが関わることができないことが課題であるかもしれません。
一昨日のオンラインでの講演を通し、約1時間(+30分程の放課後質問タイム)と短い時間ではありましたけれど、私は何度も『おぉ!』と心から驚きました。
今この時にも、すでに自分が強い関心を持てるものを見つけていたり、研究がしたくてしかたがないという子供達がたくさんいるということに、そしてさらにはそのようなお子さんたちには、理解力、伝える力(伝えようとする気持ち)、吸収したいというモチベーションもすでに強く備わっていることを実感を伴い感じることができました。
昨今では、ニュース等でも「日本の研究力が落ちてきている」「日本人の若者の科学離れ」などと言われています。
昨秋には、権威ある科学雑誌であるNatureにこんな記事が載ったことには衝撃を受けられた方も多かったかなと思いますが、これはあくまで元研究者の私の私見ではありますが「分からんでもない…」と感じることも実際です(↓)。
その要因は複雑であり複合的だと思います。だけどそれでは、私が一昨日に出会ったようなお子さんたちはこの先の未来を思う通りに真っ直ぐに歩いていけるのか?と不要な心配も浮かんできます。
研究者の資質とはなど一概に語れるものではありませんが、だけどきっと少なくとも、“空気を読む”とかいう言葉を掲げて多数であるというだけの集団と一緒になってモジモジしたり、足並みを揃えることを偏重したりするような人には向かないことは確実です。
一方で、好きなことしかしない派(好きなことにはこれでもかと熱中するが、関心がないとマジでやらない・できない)の研究好きのお子さんは、これまた内申点とか全ての教科を万遍なく高得点とか、そういう受験競争としての高等教育への参入システムには馴染みづらいことも心配です。
もちろんですね、どこかの大学入試で滑り込みセーフとなる程度の学力は基礎として絶対に必要ですし、全ての研究もステップで進んでいくことと同様に「これは手段である」と割り切って粛々と受験勉強をできる程度の感情のコントロール法は身につけておいては欲しいです。だけどどうか、たかが今の受験競争とか“そんなこと”で自分には力がないのだと思わないで、そして思わされないで欲しいと私もいつも願っています。
一昨日に私が会ったようなお子さんたちを、どうかそのままの熱意をもった状態で育てていけるそんなルートがあっても良いなと思います。
その一つこそ、「研究者にはなりたいが、研究者の実態はよく知らない」を解決することかもしれません。割と早い段階からお互いが継続的に関わることができる仕組みがあったら良いかもね。どうでしょう?
そんな「お子さん」→「研究者ネットワーク」を繋ぐことが出来る人は、そう多くないのかもしれません。
もしも私でわかることなら、(ダメ元ででも)お尋ねいただければ何かしら言えることがあったりするかもしれません。また、私は私がわからない/知らないことでも「知っていそうな誰か」に聞いてみるということも出来るので(←他人の脳も上手に使うのはとても大事なことです)、きっかけくらいは掴める可能性もゼロではないし🤔
だけどまぁ、自分の頭で考え抜くという経験は最優先でしてもらいたいとも思います。人に『どうしたら良いですか?』『何をしたら良いですか?』って聞くのは全然良いのだけど、その前には必ず自分なりに精一杯に考えてみて『自分はこう思うのだけど』という自分の庭を整えておくことも大事であると知っておいて欲しいです。
天から自動で知識等が降ってくるわけがありません。頭をしっかり働かせ、自分が精一杯に届く範囲のギリギリまでグッと手を伸ばして得られるものにこそ価値があり、喜びもまたあることを知って欲しいと願っています。
徒然としたことで、大変長くなってしまいました😅
一昨日のプログラムには本当にありがたいことに、たくさんのお子さんが参加してくださったと聞いています。また、その中には当サイトを読んでくださる方々も何名もいらしていたと伺っています。関心をお持ちいただき嬉しいです。ご参加いただき、ご質問もいただいて本当にありがとうございます。
私もとても楽しかったし、楽しかったと言ってくださるお子さんもおられたことは良かったです。
第2回を楽しみにしているというお声もいただきまして、早速ですが第2回目のプログラムとして、来月初旬に開催がなされることが決まりました(↓)
ご質問やコメントなどがありましたら、こちらの記事へのコメントなどでお知らせをいただけましたら、できるだけでもお答えしたいと思っております。
このような機会をいただくことができ、大変嬉しく思っております😊引き続き、どうぞよろしくお願いいたします👍
ーーー書籍紹介ーーー
↑:研究ってなんだ、科学者ってなんだ。そのようなことに関心を持つ方にお勧めしたい書籍です。衝撃的な書籍ですよね。もう読まれた方も多いかな?
コメント