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“普通”でいたいと言う息子

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高IQ凹凸繊細な息子の成長記録

みなさんこんにちは✨

ところで当サイトを読まれる方には、先週末にNHKで放送された“ギフテッド”に焦点を当てた以下の番組をご覧になった方々も多いだろうと思います(↓)

当サイトでは、どうかその報道については彼ら/彼女らの生きづらさにも焦点を当てるものであってほしいという希望を添えてささやかながらアナウンスをさせていただきましたが、

私

いやむしろ、生きづらさにしか焦点が当たっていない…

いやいや、本当に衝撃でした。見終えてみて、私は切ない気持ちになりました。私の息子は、どんなふうに生きていくのか。その特性は生得的なものでありますが、そんな気質で生まれてしまった息子のことを不憫であるとさえも感じました。

印象的だったのは、当事者による下記のような言葉です。

『IQが高いということだけを武器にして生きていくことはできない』『孤独』『学校で生きていく自分と、生の自分は一緒なんだろうか?』『普通になりたいし、友達がほしいし』

また、当事者として登場したギフテッド児のお母様が涙ぐまれているご様子には、計り知れない日々の葛藤やご苦労を想わされました。

彼らは何も悪くない。どうか、幸せになって欲しい。どうしてそんなにも大きな生きづらさを抱えさせられなくてはならないのか。

また、この日曜には私は下記のオンラインシンポジウムを聴講させていただきました(↓)。

この場においても、“普通”というワードが散見されました。

私は、当サイトにおいて時折ですが、『普通なんて幻想だ』と書いています。それは当たり前に皆が違っている世の中において、そもそも”普通”は存在しない、“普通”というものには合わせたくても合わせることは不可能だ(存在しないから)、そのことに早く気づくべきだというそんな意図で書いています。私はどうも昔から、『普通』とか『みんな』とか、そういう得体の知れない単語がとても嫌いです。それは私の本心です。

それでも、NHKで放送された番組を見て、当事者にとっては生きづらさの元になっている違和感はすべて“普通でないこと”に起因するのだなと、そうしみじみと実感したような気持ちでした。当事者が“普通”という幻想に囚われるのもまた当然です。そしてそれは、決して他人が『気にするな』とか『早く諦めろ』とか、軽率に言うべきではないのでしょう。『普通なんて幻想だ』って、それはそう思っている当人だけが口にして良い言葉なのだと思いました。

『普通』の島は存在しないが、仲間がいる自分の居場所はきっとある。どうかたどり着いて欲しいと願ってる。

さて。

私の息子はずっと不登校を続けていますが、彼もまた、“普通”という言葉を繰り出すことが多いです。

つい先日には、私と息子でこんな会話がありました。

息子
息子

ねえお母さん。結局のところ、僕は発達障害なの?

どうした、急に。

私の息子は幼少時より“ちょっと変わった子供”でした。生まれた直後からとにかくあまり寝ない子で、私にとって息子は第一子でしたので当時は他のお子さんと比較のしようもありませんでしたが確かに少し手のかかる子供、育てづらさのある子供だったのだろうと思っています。幸い環境に恵まれましたし、とにかく息子は抜群に可愛くて、この世の何よりもの私のいちばんの宝物なのです。だから私は、そんな“周りとちょっと違いそうな息子”のことを『まぁ、私の子供だからね〜』と深く考えることなくサラッと流してきてしまいました(←私自身には最近になり、神経発達症の診断が下りています。息子のことももっとしっかりケアすべきでした😰)。

息子が小学校に行くことを辞めてから、私たちはようやく息子を複数の医師に診ていただくために動き出しました。

しかしながら、現状において息子には発達障害(神経発達症)の診断は出ていません。『いわゆるグレーゾンではあるのでしょうが』というのが、息子の主治医の見解でした。

だから私は、そんな息子からの唐突な問いに対し、そのままのことを答えました。

私

あなたには発達障害の診断は出ていないよ。だけど先生はグレーゾンではあろうが、と仰っていたね。自分には得意と苦手があることを理解して、自分なりの対策を立てて生きていかないといけないよ。

どうしたの、急に?

それを聞いた息子はなんと、大きな声でこう言ったのです。

息子
息子

あー、よかった!僕はやっぱり“普通”なんだよね!

息子
息子

発達障害なのはお母さんだけだよね。どうりで変だと思ってるもん。

ちょっと待った!あなたは何を求めているの!?

ちょっと待って!何をもって、そう言っている!?私はとても驚きました。

もうずっと小学校に行くことさえもせず(おそらくですが小学校生活もそれほど楽しいものではなかったのでしょう)、明らかな高IQ児、こだわりが強い、納得できないことには断固反発、妥協を知らない、癇癪を起こす、やりたいことしかやらない上に(これは年齢的に当然ですが→)自立さえもしていない、そんなあなたの一体何が普通なの!ヲイ、この場でもういっぺんそれを言ってみろ!🤣

言いたいことは山ほどあります。ちょっと待ってよ、本当に。だけど息子の発言にはなんだか認知の歪みもありそうでした。皆まで言わずとも、その点だけは確認しなければなりません。

私

あなたの普通かどうかの基準は、発達障害の有無だけなのかい?

息子
息子

僕は発達障害じゃないから、少なくとも僕はお母さんよりは普通だってことだよ。

私

普通じゃなかったら、どうなるの?

息子
息子

それは間違っているということだよ。

(↑無教養な息子で大変申し訳ありません。未熟な息子の『普通へのこだわりの』としての家の中だけの会話であるとご容赦いただけましたら幸いです。お気を悪くされたらすみません。)

私

はい、そこまでだ、一旦ストップ✋

発達障害を抱える他人に、今の言葉を面と向かって言えますか?他人のことを正しいとか間違っているとか、それをあなたが考える権利はありません。

息子
息子

あ…。それは本当にそうだった。

私

それに障害というのは発達障害だけをいうのではないよ。身体の障害や、外からはわからない体の中の障害もいろいろある。そのことで差別や偏見を含む可能性のある言動は、二度としてはいけません。

息子
息子

分かった、今度から絶対に気をつける。

私

今わかれば良いよ。今後は絶対に気をつけて。

つまり、『普通』っていうものを考えていたんだよね。“普通であること”がそんなに気になる?

息子
息子

そうなんだよ。僕はずっと『普通』でいたいだけなんだよ。

私

そうだねぇ。だけどお母さんの意見としては、普通なんてものは存在しないと思っているよ。空想や幻みたいなものだよ。だって、誰一人として同じ人間はいないのに。

あとさ、お母さんを『普通じゃない』方に区分けすることで相対的に自分を普通だと思おうとするその考え方も、あまり良くないと思いますよ。

息子
息子

そうかもしれない。それでも僕は、普通でいたいって思ってるんだよ。

小学生では、自分なりの落としどころを得ることはまだ難しいかも知れないね。

私は先日のNHKの番組を見て、その少し前に息子と交わしたこんな会話を思い返しておりました。

“普通”ってものはそもそも存在しないのだと私は今も思っています。だけど彼ら/彼女らの生きづらさが普通じゃないことに起因するものだからこそ“普通”に憧れてしまうのかな、“普通”だったらどんなに良いかと嘆きたくもなるのかな。

考えさせられる、良い番組だったと思います。

難儀な息子に、どうか幸あれ。

全ての子供に、どうか幸せになって欲しい。

どうか時間をかけてでも、自分なりの落とし所を見つけて欲しいと願っています。

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10歳から向き合う発達障害/ギフテッド

コメント

  1. K より:

    なんて知的で素敵な会話!素直に訂正にも応じてて、優しいですね。

    「普通」「みんなと同じ」を求めるって思春期の特徴でもあるし、息子君の反応、年頃ボーイとして、とても健全に感じました。そして、生得的な特徴の大小に関わらず、きっとみんな気になるお年頃かも。

    我が子もごく最近似たようなことが。映画やフィクションを見(られ)ないのに、クラスメート達と「みんなで映画をみよーぜ」って話になり、「みんな」に入ることにしたらしく。「普通」への意識憧れが、親の10年近い努力をも、一瞬で飛び越えそうなので、たまには役に立つかも、って「みんな」「普通」を見直したところでした(笑)。

    • Naomi Dr.Nao より:

      ありがとうございます。息子が安定しておりまして、会話も割とスムーズに成り立つ、とても平穏な安定期なのです。

      そうですね。思春期や成長の過程においてそういう時期があったようなことを今更ハッと思い出しました。健全に成長している証拠なのかも知れません。彼らはまだ大人ではない。成長過程にあることを改めて認識しました。

      息子君はお友達の影響で映画に挑戦するんですね👍この時期の「みんな」の威力は絶大ですね🤣それでまた本人がどう感じるかとかも成長ですよね。何か話が聞けたら教えてください😊

      一方で、Kさんの息子君には全く関係のないことですが、この時期の「みんな」の威力は付和雷同で悪い方にも傾き得るなと想像し、やっぱ環境は大事やなという考えもまたよぎりました。親として一応気にしておこうと思いました。

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