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アンダーアーチーブメントを考える

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不登校

みなさんこんにちは✨

我が家の息子(不登校)は今日も元気に過ごしています。彼は特に何かをするわけでもなく、家事をして、日中はゲームをしたり新聞を読んだりお昼寝をしたり、その心のうちは親に計り知ることはできませんが、それでも親から見れば今の息子は本当に自由に過ごしていると感じています。

このような今の息子の状態は、いわゆる“アンダーアーチーブメント”と言われるものかもしれません。

“underachievement”それ自体の意味合いとしては“成績不振”を指しますが、書籍などではアンダーアーチーブメントはギフテッドの子どもの重要な課題としてしばしば議論されています。それは学業不振も含めた、その子供が本来持っている能力を発揮できずに本人が苦悩している状態を指す言葉のようです。

息子自身も、今の状態が決して良い状態だと言えないことは理解している様子です。

親からは子供の心のうちは分かりませんが、それでも私は彼なりに何かしら考えているのだろうとは感じています。

今日はそんな息子の今の状態について、私自身の成長も少し振り返りながら考えてみようと思います。

誰にでも、困難を支えた大人が存在する

息子の行動につながる納得をどう得られるか

今でこそ、我が家では息子がこのような生活をしていることは当たり前にはなりました。

少し前まで蛹になったり癇癪を起こしたりしてままならなかった息子の生活も、だいぶ落ち着いてきたと感じています。

息子は学校には行かないけれど、朝に起き、夜に眠り、最低限の健康維持は出来ています。何より息子が昼食などの食事の支度を自分で出来るスキルを身につけたことは大きかった。私が物理的に彼の生活の『お世話』をしてやらずとも、私が午後に帰宅をすれば息子が何かしらの食事を取った形跡が確認できることは私にとってとても大きな安心です。

おかげで私は息子に合わせて自宅に引きこもることもなくなって、自由に外出したり、私もまた自分の時間を持てるようにもなりました。我が家では息子が学校に行っていないだけであり、割と良いペースで生活が回っていると思います。

しかしながら。

生活自体が落ち着いて、余裕ができたからこそ、私は息子の今の状態をやはり懸念してしまいます。特に学習を含めた意欲の面で心配です。

いつか彼は、再び何かに意欲を取り戻す日が来るのだろうか?

繰り返しになりますが、私には彼の心の内を察することは親であってもできません。それでは親であり大人である私には、一体何ができるのか。そんなことを少しずつ、少しずつでも考えていこうと今の私は思っています。

息子の幼い頃からを振り返ると、彼の行動を支えてきた根っこの動機は、やはり『納得』だったと思います。

その『納得』は、『理解』とはまた違う彼の行動はやらなければならない理由がわかるだけでは変わってこなかったと断言できる。何をするにも、彼の心の内側からの深い深い納得と、それに基づく彼の内側からの行動力が湧いてこなくては彼は決して動かない。

たとえば、宿題に全く着手できない時も、書籍等で示されているような全体の見通しを視覚化してやることは彼にはあまり効かなかったと感じています。

理解でもない、見通しを持つことでもない、彼に必要なのは次の行動につながるための納得である

たぶんここまでは間違っていないと思ってる。

教育相談を担当してくださる心理士さんはさすがです。このことにとうに気がつき、私に何度も何度もこんな話をされました。

臨床心理士さん
臨床心理士さん

その必要性を、彼が納得できるように合理的に説明することが鍵になります。

親、教諭、塾講師、誰でも良いのでその意味づけを本人が納得するまでいろんな人からいろんな方法で伝えましょう。

ここで、彼の行動のほとんど全てが彼の納得により行われているのだという前提に立てば、今のアンダーアーチーブメントの状態もまた彼なりの納得により裏付けられていると考えることが可能です。すなわち、彼の今の状態は周囲が見れば不適切であると思うけれど、それもまた彼の納得により行われていると考えることが自然です。

今の不適切な状態を脱したいと思うならば、それを動機付けている彼の納得を上書きしようとすることが一つの鍵になるでしょう。

先日の、発達のクリニックの主治医とのやりとりで気づいたことがありました。

医師
医師

君は今、すごく勿体無い時間を過ごしている。

医師
医師

君自身は、今なぜこの病院に通院し、毎日薬を飲むようにと言われなければならないのかは理解している?

これに対し、息子は明確に答えていました。

息子
息子

それは、分かっています。

自分の今の状態が不適切であることは本人も心当たりがあるようだ。

息子も、自身の状態が決して良い状態であるとは言えないことは理解しているようでした。

ならばそこに次の意欲に繋がり得る必然性を乗せてやれば、きっと息子は再び動き出すに違いない。それを直感的にも感じられたこの日の診察は私にとっても大きな気づきとなりました。

意欲はもともと大きく変化する

意欲を取り戻すためにはスモールステップでも“目標設定”が必要だろうと思いますが、それもなかなか難しいなと感じています。

それでも今の息子の状態をよくみれば、なんとなくでも彼のアンダーアーチーブメントを動機付けている要因が少しずつでも見えてくるような気もします。

今の息子はほぼ毎日、日中はゲームをして過ごしています。ゲームはどんどん進むので、時には新しいものを欲しがったりもあるようです。

息子
息子

おかーさーん。このゲーム欲しいんだけど、お小遣いで買うからダウンロードしてもいい?

私

ゲームをするのも結構ですが、学習面の手が止まっていることは心配よ。

そうなのです。何もゲームがダメとは言いません、私もゲームは大好きです。だけどゲームしかしていないのはどうなのよ?と私は息子に言いたい。

息子
息子

英語を毎日2ページやるから!

私

よろしい。それならダウンロードを許可します👍

そういって、息子は新しいゲームを獲得しました。

だけどまぁ、英語の方はやんないね😅

英語についてはその日はチラッとはやっていたけれど、翌日にはもうやらなくなりました😅

以前の私であればここで『約束が違うでしょう!』と叱っていたかもしれません。しかし今の私は“今、衝突は百害でしかない”ことを理解しているつもりです。“今”の英語学習よりも、“長期的な意欲回復”の方が比較にならないほど重要です。だから私は長い目で見て、一時的な息子の態度については引き下がることに決めています。まずは息子が落ち着いて過ごし、受け入れられていると感じられる、そんな雰囲気を自宅に醸造することの方が大事だろうと思っています。

息子が自分で言い出したにも関わらず英語をやらないということは、それもつまり、息子が英語を学ばなければならない理由に真に納得できていないのです。だから、やらない。それだけです。

ここで私が要求することや叱ること、そしてゲームのダウンロードという報酬だって彼の行動は変えられない。息子の行動原理の構造は、実は非常に単純でありつつも、最も複雑だとも言えるでしょう。

他の要因もありそうです。彼は4月の模試で思うように点数を取れなかったことで大きく意欲を削がれてしまったようですが、

  • 目の前の課題に興味が持てない
  • 努力をしないことで失敗をするリスクを避けようとしている
  • 外れた方が楽であると感じている

そんな側面も彼にはあるだろうと思っています。つまり彼は、納得できていないことに取り組もうとするくらいならば、自身のあらゆる権利を放棄しようとさえしてしまうのかもしれません。

私

勉強は大事だよ、今学力を備えておくことはあなた自身の助けになるよ。

私も何度かそのようなことを言ってみたこともありました。しかし息子は断固、納得しません。

息子
息子

今勉強するくらいなら、将来どうなっても仕方ないってことでいいよ。

本当にそう。息子は納得できていないことに取り組もうとするくらいならば、自身の行動が招くであろう燦々たる結果さえも我慢する方がマシであると考えているのかと思わされます。

そう考えていくと、彼は今学校に行ってはいませんが、彼は決して無気力というわけではなさそうです。

それもまた彼の思考の激しさであり、彼にとっていかに“納得”が重要であるのかを示すエピソードの一つに過ぎません。

そんな彼をスモールステップで支えるための目標設定って何だろう?非常に難しいと感じています。

困難を支えてくれた人がいた

息子に限らず、人間というのはいつでも意欲が満タンなわけではありません。誰にでも、やるべきことに意欲が持てない時期というのはあるでしょう。

先日ふと、私は私自身の成長過程において似たような時期があったことを思い出しました。私にも、一時期は勉強が全く手につかず、学校にもいく意味が分からなくなってそれらを放棄して過ごしていた時期がありました。たしか、高校3年生の春頃でした。

私は地方の公立高校の出身です。幸い校内での成績は良く、友達にも恵まれて、夢中になれる部活動もあり、学校には楽しく通えておりました。

だけどふと、なんだか全てに意義を見失って、何も手につかなくなった時期があったことを思い出しました。

学校にも行く意味が分からなくなり、高校へは部活動が始まる時間に行きました。

学校へ行ったとしても授業中にはなんだかわけがわからなくて嫌な気持ちになってしまい、授業に参加しないようにずっと外を眺めていました。

友達との関係も、一時はぎこちなくなりました。

それまでは校内の中間試験や期末試験では好成績を取ることを自信の一つとしていたのにも関わらず、なんだかそれも嫌気がさしてしまってその時期は試験を受けることも放棄しました。

さすがにその頃、先生方にも何度か呼び止められました。

化学の先生
化学の先生

おまえ、いつも外ばっかりみて、一体どういうつもりよ。授業やってる方もショックやわー笑。

担任の先生
担任の先生

テスト受けんかったんかー。期末試験は受けんと成績がつかんぞー。

私はその頃、なんだかとてもモヤモヤした気持ちのままで、感覚的には、例えば急にこれまでの足元が一旦崩れ落ちそうな、そんな不安の中でした。何も手につかないし(←それでも部活だけは行っていた)、周囲から見れば『どうしちゃったの?』という感じだったと思います。

だけどこの時、ありがたかったなと思うことは、周囲の人は特に変わらず何ともなく接してくれたことでした。特に高校の先生方は、良い距離感で見守ってくださったと思います。それまではまぁまぁ良い成績を取っていた私が急に何もしなくなっても笑ったりも、罰したりもしませんでした。高い期待を寄せすぎるでもなく、あるべき期待に沿わないとしても見放すでもなく期待を低くもたれるでもなく、ただそこにいつも通りに先生という立場で存在していただけでした。そのことが、私を徐々に励ましていったのだと思います。

そのうち気が済んだ私は、夏休みに入る頃には再び学習に意欲を持てるようになりました。大学受験というものも、視野に入ってくる時期でした。

誰にでも意欲を持てない時期はあるのでしょう。

それについて自分の経験も振り返って思い浮かぶのは、困難を支えてくれた大人の存在だと思います。

息子にも、いつかきっとそんなふうに意欲を取り戻すきっかけが訪れて欲しいと願っています。

自宅では安心して健全に日々を過ごすこと、親は息子と良好な関係を育んで高い期待を持つでもなく、期待を低く持つでもなくその存在で励ましていければいいのかもしれません。挑戦のための目標設定を提案し、目標に向かう価値観を持たせてやりたいとは思いますが、それはもしかしたら親以外のメンターの方が適任なのかもしれません。そのようなメンターに出会う機会を増やすことならば親にも出来るかもしれません。

息子もきっと成長します。ただしそれはそれは親や社会のスケジュールではなく、息子のスケジュールにしか沿わないことを理解しようと思います。

これは本当に私の今の推測にしかすぎません。いつか息子本人がこの記事を読んだら『全然的外れだよ』って言われる可能性も高いでしょう🤣だけど今の状況を、私なりに少しでも整理しておこうと思いながら記録の一つとして書いておこうと思います。

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