みなさんこんにちは。
今日も当サイトへお越しくださり、ありがとうございます。
私は今、本当にひょんなことからある私立高校の教壇に立ち、理科を教える非常勤教諭の仕事をしています。
そのきっかけは、本当にひょんなことでした。

ねえ、暇でしょ?

そう、かつて私が基礎科学の領域の研究者だった時の友人が、今はある私立の全日制高校において理科主任をしております。その彼が転職した時、私が本当に何気なくこう漏らしていたことを、彼はその抜群の記憶力で覚えていたらしいのです。

転職おめでとう!これからは念願のワークライフバランスが叶うといいね。
そういや私も高校理科の教員免許を持ってんだよね〜(←コレね)
そんな本当にひょんなことから、人手不足の高校教諭に、私にまで白羽の矢が立ちました。

高校の先生って、実際のところ、誰でもいいわけじゃないんだよね…人柄がわかっている友人だとこちらも安心なのよ。週に何日かでいいから、お願いできる?
そう言われれば、そうかもしれない。人柄がわかっている友人だったらいろいろお互い安心にもなりますね。このことから、若い時の研鑽と人脈というものは、いつかどこかの思いもよらない場面で役にたつ。そんなこともあるんだなと実感し、そうして引き受けた話でした。
さておいて、これがなかなか面白い仕事だと思っています。
子供達の成長を、目の当たりにできること。
直接対話ができること。
彼らを励まし、道を示すことができるチャンスがあるかもしれないことも楽しいです。
面白い質問も受けるし、私は科学に素養があるのでどんなことでも話せます。

宇宙に興味があるんです。考え出したら止まりません。先生、タイムマシンの設計は可能だと思いますか?

よしきた!任せとけ!嬉!
他にもたくさん、面白い質問を受けることもあり、それがなかなか楽しいです。
同時にまた、「学校の先生たちのリアル」も学べて面白いなと思います。つい先日にはこんなこともありました。
職員室で、英語の教員同士がこう話しているのをたまたま耳に入ってしまった私は心底びっくり!

どーーーーーしても話さない子が3年生と2年生に1人ずつ、2人いるよね。クラス担任からは「授業中に当てないで」って言われているけど、どうしたらいいの!?

本当にね。その子だけ飛ばすっていうのもおかしいし…でも、特定の友達同士や部活動では話しているらしいわよ、授業では何か反抗しているのかしら?

それってきっと、場面緘黙症ですよね?反抗しているわけじゃ全然ないよ!
そうか、やっぱり先生方は、発生率が極めて低い場面緘黙症を正しく知らない。しかも高校生の年齢まで症状を引きずったままになっているなら、その当事者もかなり強い困り感を抱えているに違いないのに、反抗して話さないと完全に誤解をされていました😭
私はここでも『なるほどな』とリアルな学校現場の実態に触れることができました。

恐れ入ります、聞こえちゃいました。それはもしかしたら、場面緘黙症という障害かもしれません。

私も、そして私の娘も当事者ですから私はこれを乗り越えるための人一倍の知識と経験を有しています。
割と珍しい疾病なので、もしかしたら本人も、そして家族も気づいていないかもしれませんが、この「知られていない」ことがこの障害の課題なんです。不安症に分類されて、本人は本当に大変な思いをしていると思います。当事者には適切な支援を要します。どうかこの機会に場面緘黙症を正しく知っていただけないでしょうか。

え、そういうのあるの?

あるんです。きっとそうだと思います。先生方で広く共有してください。適切な対応というものがありますから、どうか、どうかお願いいたします。
その時の職員室では、私は概ねの症状と対応を説明し、先生方のいくつかの質問に答えるなどに留まりましたが、やはり緘黙児はどこにでも、あたりまえにいることをまた実感することができました。
それは私が担当しているクラスのお子さんではなかったので、私はまだその子達に会ったことはありません。本人さえ気づいていない場合もありますから、私が何か直接的な働きかけをするつもりはありませんが、いずれ自身の学びのためにどんな様子かだけは見に行こうかなと思っています。

まず、 「場面緘黙の理解」においては、教師は生徒が反抗していて話さないわけではなく、根底には不安があるのだということを理解する必要がある。 (…)場面緘黙の生徒を教室で支援するためには、教師が生徒の不安を軽減するために信頼関係を築き、そして学校全体でのアプローチを行うことが重要である。
論文「A Literature Review of Teacher Strategies to Support Children with Selective Mutism in the Classroom (学校で教師が場面緘黙の生徒を支援するための方法)」Aulad: Journal on Early Childhood , 7 (2), 582–591. https://doi.org/10.31004/aulad.v7i2.734
(↑)この論文は、私も加入している日本場面緘黙研究会の定例ニュースで紹介されたことから私も拝読させていただき、とてもよく書かれていると心強く感じたものです。
だけど場面緘黙症は、絶対数がとても少ない(500人に1人程度と言われる、ギフテッド児よりもっと少ない)ためにやはり知られていない。誤解の元にもなっています。それを現場で知ったことは大きかった。
もしも私の知識と経験が、彼ら彼女ら当事者達のの力になれたら嬉しいですが、直接的では差し出がましい場合もあり得ますから、まずは全体のニーズの把握から取り組んでみようと思っています。
そしてこの場面緘黙症の実態がどうか、学校の先生達にも正しく広く伝わってほしい。そう心から再度願うきっかけとモチベーションにもなりました。
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