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管理しようとしない、そういう人だ

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成人ギフテッド母の成長記録

みなさんこんにちは。
今日も当サイトへお越しくださり、ありがとうございます。

2025年もぼちぼちと、穏やかに?、締めくくられようとしています。先週末で仕事納めだったという方も多いでしょう。今頃は大掃除への準備期間か帰省でしょうか。どんな状況にあろうとも時間は等しく流れるわけで、まずはこの1年を無事に過ごせたことに感謝をし、穏やかに締めくくりたいと思っております。

私もこの1年を振りかえれば、喜びも達成感も、困惑も憤りも反省も、思うところはたくさんあります。当サイトに関連しては、今年もたくさんの方々との交流を持たせていただくことができました。私にとって全ての対話が学びでした。私たちの経験が、もしもどこかで似た状況にある人の目を開き励ますならば、それは割と意義深いのではないだろうかと感じています。年の終わりに当サイトを訪れてくださった皆様、交流やお世話になった皆様に改めて感謝申し上げたいと思います。

趣味の登山、今年の登り納めに行ってきました。好天で素晴らしい眺望でした。
箱根の街を見下ろして喜ぶ娘

今一番強く思うこと。

ギフテッド、特に子供はやっぱりね、並外れての繊細さは課題であると感じます。

過度激動も非同期発達も課題だし、いろいろあるけど、『繊細さ』を課題とする子も深刻です。過度の繊細さは、特に子供時代には、環境の無理解もあり内的な困難に直面することが幾多もあります。息子もそう。

ギフテッド児のその“繊細さ”は、“内向的”という言葉ともまた異なりますね。おとなしいとか、引っ込み思案とか、そういう表現とはまた違う印象です。さらには同一個人内には“完璧主義”と“深い(深過ぎる)思考”も併存し、その子に対して積み上がってしまった“他者からの無理解な評価の経験”が繊細さを爆発的に加速させてしまっています。他者からの評価とは、彼らについては過小評価であることがほとんどです。

そうして徐々に、“一歩”が踏み出せなくなることもある。

励ましでも批判でも『迷ったら動け、飛び出してみろ』と、そう言葉で言うのは簡単ですが、思考の深い彼らにはとても無理な相談です。わからない人には絶対わからん、当事者の頭の中は深遠で、どうしようもないグルグルを抱え込んだまま動けなくなってしまっていることもあるという事例は割と思春期頃の年齢のお子さんから見聞きすることが多いです。

そして何より苦しいことは、繊細さが、時に孤独という形で現れることも多いこと。

ギフテッド児の研究者であり息子の主治医でもある方が、かつてこう仰った言葉は私の何よりの恐れです。

息子の主治医
息子の主治医

こういう子たちに最も危惧しないといけないことは、孤独からの自死なのです。幸い私が担当する範囲ではそういうことは起こっていないですが、データとしては顕著です。

そうだと思う。私もたくさんの書籍や論文を読んできたけど、ギフテッド児の夭折や人や人生への諦めだったり精神疾患への罹患等に言及される書籍は枚挙にいとまがありません。

何がそうさせてきたんや。可哀想すぎるやろ。

生来のその資質を持って生まれてきたという子供です。子供時代はそれでも素直にその子らしく、周りに迷惑をかけまくったりして健やかに育ってきたはずでした。

親としては何もこの子の大成功を、偉業達成を望む気持ちなどは微塵もないの、そうでしょう?

ただただ我が子が幸せであってほしいと、彼らが自分らしく力を発揮してふと笑顔で胸を張る、そんな姿を遠くからでも見られたらなと思うだけ。そんな願いに対して私は親の無力さ、どうしようもないやるせなさを感じさせられることもあります。

だから、親も焦るのです。

親とは言えど、私たちは決して完璧ではありません。焦りもするし、だから感情的にもなるし、不要な言葉を我が子にえいやと投げつけてしまったりもしてしまいます。

つい最近も、私はやってしまいました。

私

いい加減、現実を見ろよ!

私の息子は年齢的にはまさに自立の分岐とも言える正念場。ずっと不登校を継続したが高校へは行くといい、受験への準備をしながらも、いざ願書を出す段になると塞ぎ込んで自室に閉じこもる息子です。

私

期日ってのがあるんだよ!世の中に合わせて動かないと、誰もあなたを待つわけなかろう!

そう声を荒げる未熟な私。そんな彼を平静にとても見ていられない気持ちになるのは、正に親の焦りに他なりません。

だけどね、それがすんなり出来るんだったら、最初から苦労はしとらんわけです。

それは息子のうちにある繊細さが、彼をそうさせてしまっています。来る環境の変化に誰しも怖れは抱えるでしょう、どうなってしまうんだろう、そう考えると思考がぐるぐる、一歩を踏み出せなくなる事例の一つですね。そう頭では理解できます。だけど親の焦りもまた正論です。

私

期日があることくらい、息子が一番よく知ってるわな。分かってることを言われたら、そりゃ嫌だよなぁ。

私がかけるべきは励ましの言葉であって否定の言葉ではないはずなのに、正論が彼らの重荷になっているとは分かっていても、私が言わねば誰が言う?という気持ちも働いて、ついつい余計な一言を投げつけてしまう自己嫌悪を繰り返したりしています。

子供を信じて待つと言う言葉もよく聞きますが、私は半信半疑です。それは放置とは違うのか。「信じて待て」と言う他所の人は、仮になんともならなかったとしても一緒に責任を負ってくれるわけではない人ですし、信じて待つを選んだとしても、そこには信頼関係が築ける大人の第三者の存在は必須だろうと思います。

 

一つ挙げるなら、彼ら・彼女らは管理されることを極端に嫌う人でもありますね。かつてギフテッド児であった私もそうでした。

やれと言われたことを無条件にはやりたくない、意味があると確信できないと動けない、というアレもそうでしょう。簡単な例を挙げれば、子供であれば習得した漢字や計算も何十回もただ反復を強いられるとか、大人ならばもっと効率が良いやり方があるはずなのにと思いながらもマニュアルに従わなければならないとか、そういうことがとても耐え難い苦痛になってしまう人っているでしょう?

この12月には、それを思い返したエピソードがありました。

私はいま、たまたまある私立高校で高校教諭として勤務をしています。その高校の受け持ちには、明確にギフテッドの特性を示す男の子が一人います。私は彼がすごく良いと思うし、彼の観察は楽しいです。

今月上旬。2学期の期末考査を目前にして、学年全体に向けて理科の試験範囲に関する演習プリントが作られました。私はその子が所属するクラスにも、一律に、そのプリントを配りました。

私

ほーい、このプリントは期末考査対策に役に立ちます。この授業時間内で時間を取るので、各自取り組んでみてください。質問は随時受け付けます。

ほとんどの子が、授業中に終わらせてしまおうと黙々とプリントに向かいました、そう、プリント提出は成績処理の際に“加点”になります、本校では。わかりやすく素直な子はそこでパッと動ける子。だけどそのギフテッドの特性を持つ彼は何か別の動きをしておるな、何かノートに書いておる、笑。ほどなくして、ノートを持って私がいる教卓までやってきた彼のセリフはこうでした(↓)

ギフテッドの特性を示す子
ギフテッドの特性を示す子

これは全部、自分で考えた演習問題です。解き方は合っていると思うのですが、どうですか?

やっぱりな!大人に言われた課題をやれと言われてそのままやる子なわけないな!なんという創造性!
私

やりおるな、色々なところでちょっとずつ複雑にして問題を作ってあるな(←あるあるですね)。

どれどれ、、、あぁ、いいね、美しいですね、あなたのこういうところが私はすごく良いと思うよ。あ、ここね、構造を表す式が違ってるよ。

ギフテッドの特性を示す子
ギフテッドの特性を示す子

違ってますか!(ニヤリと笑った気がする)

私

ああ、違ってる。もう少し考えてみなよ、あなたなら気づけるよ。

私

はい、じゃああなたは演習プリントはもうやらなくていいから。提出したことにしとくから。よく勉強しましたね、期末考査もよろしくね。

ギフテッドの特性を示す子
ギフテッドの特性を示す子

・・・どうも(ニヤリ)

そう、一時が万事、ギフテッド児とはそういう人です。外から動かすことなんでできない、管理しようとしてもできない人です。だけど彼らなりの思考を伸ばしていきます、変な枠に収められたり否定されることさえされないならば。

そうだよな、私もそうだった気がするもんなと、思いました。

 

徹底的に管理されるだけで彼らの心は死んでいく、ギフテッド児は本当に儚い存在です。

頭ではそう分かっていても、

私

なんでうちだけ他の子のようにいかないの!

と嘆きたくなってしまうことも親なら毎度のしょっちゅうです。

そんな時の、私の密やかな対処法。

それは本を読むことと、周りの同志の話を聞くことです。まさに避難所のような感じでしょうか。

例えばこちらの書籍をパラパラと読み返すだけでも、私の息子だけがそうなのではない、世の中には同じような資質を持つ人間がある程度の集団をなすほどには一定数が存在していて、“そういう人も確かにいる”と言い切れることを思い出せて、冷静になれる気がしています。

そういう人は一定数存在する、我が子もその一人に過ぎない、ただそれだけのこと。

だけど実生活の周囲にはやっぱりその絶対数が少ないので、孤独感を感じてしまうこともあります。これまでもずっとそうでした。我が子には特異な配慮が必要だから周囲に訴えかけてみても、周囲が“そんな子”がいるという認識に欠けるために、ただ私が我が子を特別扱いしてもらいたがっている親であると捉えられて冷たい拒絶を受けたこともありました。配慮は彼の心を守るためにあったのに。

だけど奮闘しているのは私だけではないのだと、書籍を読み返せば冷静に思い出すことができるようです。

反対に言えば、書籍を読み返さないと思い出せない自分の未熟さは来年にも引き続いての課題としつつ、それでもどこかに似たような経験をした親子がいるのだからと思いながら、私たちはお互いにお互いを助け合い、支え合いながら我が子をそのまま受け入れていくのだろうと思います。

来年も親としてのさらなる精進を抱負とし、まずは過ぎゆく今年を気持ちよく締めくくろうと思います。

 

皆様、今年も大変お世話になりました。

また来年も、どうぞよろしくお願いいたします。難しい時期も楽しい時期も、いろいろあります。避難所のような当サイトであれたら良いのかなと思っています。

ーーー書籍紹介ーーー

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